このビデオを見るときはヘッドフォンもしくはイヤフォンを
使用していただくと効果的です..
「心音移入」 人間は、指紋や声や皮膚の色など自分の属性であっても、通常その属性を特に気にせず生きています。属性の中でも内臓といった身体の内側のことには、より無頓着です。考えようによっては、それらを気にしないからこそ上手く生きていけると言えます。しかし時には、その内臓が発する音によって、普段は意識しない存在に気がつくことがあります。例えば、空腹のときに鳴るお腹の音は胃や腸の存在を、緊張している時に聞こえてくる鼓動は心臓の存在を知らしめます。この時、聞こえてくる空腹音や心音は、紛れも無く自分固有のもののはずですが、現実には私たちは、それを特定する能力は持ちえていません。一般に、属性というのは、その人特有のものと解釈されますが、この作品は、属性の中にはアノニマス(誰のものでもない)な、共有できる性質を持つものがあるということを示しています。 聴診器を自分の胸にあて、ヘッドフォンを通じて自分の心音を聞きます。そのとき、目の前には、緊張している人の映像が流れます。映像に合わせて音の強弱が調整されていくなかで、だんだん、その音が自分の心音なのか、映像の中の人の心音なのか区別がつかなくなってきます。心音という個人にとって重要な属性が共有されることは、それを通じて、他人の緊張感だったり、心の動きを想像をすることにつがなります。 |
Prix Ars Electronica 2011 Interactive Art division Honorary Mentions 2010年7月16日〜11月3日 21_21 DESIGN SIGHT |
(c) Hideyuki Ando + Junji Watanabe + Masahiko Sato